12/21 早く人間になりたい

久々に髪を切った。
就活も始まることだし都会のモダンでかっこよろしい美容室に行こうと思っていたのだが、あまりにも
寒かったため近所で済ませることにした。ブスはこうして作られていく。
 
一部の人には自慢のように聞こえるかもしれないが、私は髪の毛の量が尋常じゃなく多い。
これがなめらかな指通りの髪質なら全世界に大手を振って自慢できるのだが、生憎私の髪質は
どう頑張っても「リンスした陰毛」ぐらいのもんだし、そのうえクセが酷いという厄介な性質を抱えている。
 
どれくらい厄介かというと美容師から「最善は尽くしましたが私どもが切れるのはここまでです」という旨を
伝えられるレベルである。現代医学の敗北みたいに言うな。 
 
アンダーヘアが表舞台に出てきてしまった残念な客に、哀れな美容師はこれも仕事とばかりによく
わからないマッサージ(効かないわりに音がすごい)を施してくれる。
なんかオシャレっぽいけどここは代官山じゃなくてキジが道路に飛び出してくる田舎だということを
思い出して欲しい。
あとこの店がタウンページだと「床屋」で登録されていることも思い出して欲しい。
 
出来上がったヘアスタイルはそれなりにすっきりしていた。
まあ伸ばすつもりだしこんなもんだろ、と席を立とうとすると美容師の口からお馴染みの言葉が飛び出してくる。
 
 
ワックスつけていいですか?
 
 
何故美容師というものはすぐにワックスを付けたがるのか。仕上がりに自信が無いのか?
どうにかしようとしたけど所詮陰毛は陰毛だし、とりあえずワックスつければ何か変わるかな~とでも
思ってるのか?甘い。陰毛をなめるんじゃない。
丁重にお断りするつもりだったが、一応どういうワックスつければいいかだけ聞いてみるか、と思い直し答える。
 
「今日は付けなくて大丈夫です〜…あ、私の髪質だったら普段どういうワックスつければいいんですかね?」
「そうですね、髪質がしっかりしてるんでセット力が強めのを選んだほうがいいですかね~つけてみます?
 
 
そんなにつけたいか。根負けした私は陰毛ワックス権を彼に譲与した。
そんなに変わるわけなかろうと鏡の中をのぞいてみると
悲しい怪物がここに生まれてしまった。
頭が、長い。
どこをどう贔屓目で見ても、長い。
いやー何かの間違いだろう、このあともう一段階何かあるだろう、だって、なんか入ってるよ?
頭にワンクッション、入ってるよ?
 
「こんな感じです〜こうやってちょっと高さ出してあげると可愛いですよ^^」
 
終わりか。あと長いの、わざとか。
暗澹たる気持ちで家に帰ると、父が「可愛くなったじゃ〜ん」と出迎えてくれた。元がどれだけひどいんだ。